ペアローンが2年で8.6倍に急増|住宅ローン市場の変化と、後悔しない選び方
結論|ペアローン急増は「無理をしている人が増えた」のではない
2023年から2025年にかけて、
ペアローンの利用は約8.6倍に急増しました。
この数字だけを見ると、
「そんなに借りて大丈夫?」
と不安に感じる方もいるかもしれません。
ですが実際は、
住宅価格の上昇と金利環境の変化を受けて、
多くの人が“より慎重に・より現実的に”住宅ローンを考え始めた結果
といえます。
この記事では、
-
なぜ今ペアローンが増えているのか
-
ペアローンはどんな人に向いているのか
-
選ぶ前に必ず考えておきたいポイント
を、最新の調査データをもとに分かりやすく解説します。
ペアローンが2年で8.6倍に|iYell調査が示す住宅ローン市場の変化

2025年11月、住宅ローンテック企業の iYell は
「住宅ローン市場 消費者動向レポート」を発表しました。
このレポートは、
クラウド型住宅ローン業務支援システム
「いえーる ダンドリ」における事前審査データを分析したものです。
調査で分かった主なポイント
-
ペアローン利用が 2023年→2025年で約8.6倍
-
住宅ローンの申請件数自体も増加
-
共働き世帯の利用割合が大きく伸びている
つまり、
「ペアローンを使う人が増えた」だけでなく、
住宅購入を早める人が増えている
ということが分かります。
なぜ今、住宅購入とローン申請が増えているのか?

理由①|住宅価格の上昇が想像以上に速い
同レポートでは、
東京23区の中古マンション(70㎡)価格が
この2年間で約1.5倍に上昇したことが示されています。
この動きは、首都圏だけの話ではありません。
-
建築資材価格の高騰
-
人件費の上昇
-
土地価格の上昇
これらが重なり、
地方でも「数年前より家づくりの総額が上がった」と感じる方が増えています。
「今ならまだ届くけど、この先は分からない」
そんな感覚が、
住宅購入を後押ししているのです。
理由②|金利は“このまま低い”とは言えなくなった
もう一つの大きな変化が、金利環境です。
-
2024年3月:マイナス金利政策が終了
-
2025年1月:政策金利が 0.5%へ引き上げ
これにより、
「住宅ローンはずっと超低金利」という前提が崩れました。
その結果、
-
将来の返済額はどうなるのか
-
片方の収入だけに頼って大丈夫か
といった返済リスクへの意識が強まっています。
なぜペアローンが選ばれるのか?|背景にある“考え方の変化”
ペアローンとは、
夫婦それぞれが住宅ローンを組み、1つの住宅を購入する方法です。
ペアローンが選ばれている主な理由
-
収入を分けて考えることで返済リスクを分散できる
-
借入可能額を確保しやすい
-
希望の立地や間取りを諦めずに済む
iYellのレポートでも、
「消費者はリスク軽減を意識した戦略的な行動を強めている」
と分析されています。
つまりペアローンは、
背伸びをするためのローンではなく、
現実的に返し続けるための選択肢として選ばれているのです。
ペアローンは誰に向いている?向いていない?

向いているケース
-
共働きで、今後も働き続ける見通しがある
-
収入差が大きすぎない
-
将来の家計イメージを夫婦で共有できている
慎重に考えたいケース
-
出産・育休・転職などで収入変動が大きい予定がある
-
どちらか一方の収入への依存度が高い
-
将来の働き方がまだ定まっていない
ペアローンは「借りやすい」反面、
将来の変化を織り込まずに組むと、負担になる可能性もあります。
ペアローンで見落としがちな注意点
重要なのは、メリットだけでなく、注意点を明確に知っておくことです。
-
団体信用生命保険は原則それぞれ加入
-
諸費用が2本分かかる場合がある
-
どちらかが働けなくなった場合の返済計画
特に大切なのは、
「借りられる額」=「安心して返せる額」ではない
という視点です。
まとめ|ペアローン急増は“時代に合った家の持ち方”
ペアローンが2年で8.6倍に増えた背景には、
-
住宅価格の上昇
-
金利環境の変化
-
共働き世帯の増加
という、はっきりした理由があります。
大切なのは、
「流行っているから」ではなく、
自分たちの暮らしに合っているかどうか。
住宅ローンは、
家づくりの中でも特に長く影響する選択です。
だからこそ、
目先の金額だけでなく、
将来まで安心して暮らせるかを軸に考えることが、
後悔しない家づくりにつながります。