家づくり、最初に考えるべきは「窓」かもしれない?

こんにちは。
設計のご相談を受けていると、まず聞かれるのは「間取り」や「外観」のこと。
でも、実は住まいの“快適さ”を左右する大きなカギは窓なんです。
今回は、YKK APの調査結果をもとに、これから家を建てる方にこそ知っていただきたい「窓の話」を建築家目線でわかりやすくお伝えします。
家の不満1位は「寒さ」。それ、窓で解決できるかも?
YKK APが実施した住まいのアンケートでは、現在の家の不満1位は「冬の寒さ(43.7%)」。
続いて「光熱費が高い(36.8%)」「夏の暑さ(31.4%)」と続きます。
これら、実はほとんどが窓の断熱性能と深く関わっています。
なぜなら、家の中で【最も熱が出入りするのは“窓”】だから。
夏の暑さ、冬の冷気、どちらもガラスやサッシを通して入ってくるんです。
「窓の種類」で、家の快適さは大きく変わる!
たとえば、こんな窓の違いがあります
■ 単板ガラス(1枚ガラス)
昔ながらの窓。安価ですが、断熱性はほぼゼロ。
冬は冷気が入りやすく、結露もしやすいです。
■ 複層ガラス(ペアガラス)
ガラスを2枚重ね、間に空気層を挟んだもの。
1枚ガラスよりも格段に断熱性が高く、現在の標準仕様になりつつあります。
■ Low-E複層ガラス
ペアガラスに**特殊金属膜(Low-E)**を加えたもの。
外の熱を反射し、室内の温度をキープ。
「遮熱タイプ」と「断熱タイプ」があり、方角に応じて使い分けると◎。
■ 樹脂サッシ
窓枠に樹脂を使用したサッシ。
アルミに比べて熱をほとんど通さないため、断熱効果が非常に高いです。
最近は、外側がアルミ・内側が樹脂の「ハイブリッド型」も人気。
例えば、こんな工夫をしています
あるお客様の家では、南面の大開口に「Low-E遮熱ガラス×樹脂サッシ」を採用。
夏は強烈な日差しをカットしながらも、室内は明るく涼しく。
冬は北側の書斎に「Low-E断熱ガラス×内窓(二重窓)」をプラスして、朝の冷え込みをしっかりブロック。
結果、冷暖房の使用頻度が減り、電気代が年間で約2万円下がったという声もありました。
「開放感」と「快適さ」は、両立できる
「大きな窓=おしゃれで明るい家」と思いがちですが、それだけだと夏は暑く、冬は寒い家になります。
重要なのは、“どんな窓をどこにどう配置するか”。
南面には庇や植栽を組み合わせて夏の日差しを遮り、北側は窓を絞って冷気を防ぐ。
方角と季節を考えた設計+性能の高い窓が、快適さを生むポイントです。
窓選びは、未来の暮らしを左右する
家は見た目だけじゃありません。
「寒い」「暑い」「電気代が高い」といった日々のストレスを減らし、長く快適に暮らすためには“窓”こそ最優先で考えてほしい要素です。
これから家づくりを始める皆さんへ。
間取りやインテリアを考える前に、ぜひ「どんな窓を選ぶか?」にも目を向けてみてください。
きっと10年後のあなたが、「この家にしてよかった」と思えるはずです。