頭金を多く出すメリット・デメリットとは?住宅ローンと上手につきあうための賢い考え方

「家を買うとき、頭金ってどれくらい出すべき?」
「頭金ゼロでも住宅ローンは組めるけど、大丈夫?」
これは、マイホームを検討し始めた多くの方が直面するテーマです。
家づくりを考えている方にとって、頭金をいくら出すかは家計にも将来設計にも大きく影響する重要な判断ポイントになります。
この記事では、住宅ローンに強いファイナンシャルプランナー(FP)としての視点から、頭金を多く出すメリットとデメリットを丁寧に解説していきます。
そして最後には、「完済年齢を早める=将来の安心」という考え方がなぜ大切かもお伝えします。
■ そもそも「頭金」とは?いくら用意すべき?
頭金とは、住宅の購入費用のうち、自己資金で支払う部分を指します。
たとえば、3,500万円の新築住宅を購入する場合、500万円を自己資金として出せば、残り3,000万円を住宅ローンとして借り入れる、という構図です。
かつては「頭金は2割出すのが常識」と言われていましたが、近年は金融機関のローン審査が柔軟になり、頭金ゼロや1割未満での住宅購入も珍しくなくなっています。
とはいえ、頭金を出すことで得られる経済的メリットも多く、逆に出しすぎることで生じるリスクもあります。
次章から、それぞれ詳しく見ていきましょう。
■ 頭金を多く出す5つのメリット
① 借入額が少なくなり、毎月の返済がラクに
頭金を多く出すと、その分住宅ローンの借入額が減るため、月々の返済額が軽くなります。
▼ 例:3,500万円の住宅を購入/金利1.0%/35年ローン
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頭金0円(借入3,500万円) → 月々 約99,000円
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頭金500万円(借入3,000万円) → 月々 約84,800円
月々約14,000円もの差が生まれ、年間にして約17万円もの家計負担の軽減になります。
固定費が下がると教育費・老後資金・旅行や趣味など、将来の「選択肢の幅」が広がります。
② 支払う利息の総額が大きく減る
住宅ローンの利息は、借入額に対して発生するため、当然ながら頭金が多いほど支払う利息も少なく済みます。
▼ 金利1.0%/35年返済の場合
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3,500万円借入 → 約660万円の利息
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3,000万円借入 → 約565万円の利息
→ 利息差:約95万円!
長期で見たとき、利息の圧縮効果は非常に大きいです。
「同じ金利でも、返済総額が100万円近く変わる」ということは、家計にとっては無視できないポイントですね。
③ ローン審査が有利に働く場合も
自己資金の多さは、金融機関にとって「この人は計画的に資金を準備できる堅実な人」として信用力の証明になることがあります。
その結果、住宅ローンの審査が通りやすくなったり、金利優遇を受けられる可能性もあります。
とくに、フラット35など一部のローンでは、自己資金が一定以上あることで金利が引き下げられる制度があり、頭金が金利面でも好影響をもたらすことがあります。
④ 借入比率が低くなり、将来の選択肢が広がる
借入比率(ローンの残債÷不動産評価額)が低いということは、将来的に万が一、家を売却したいときもローン残高より高く売れる可能性が高いということです。
これは、離職・転勤・転校など、想定外のライフイベントが起きたときにも対応しやすいという「柔軟性」を意味します。
⑤ 精神的な安心感がある
「できるだけ借金は少なくしたい」という考えの方にとって、頭金を多めに出すことは精神的な安心材料にもなります。
ローン返済に対する不安感が減れば、住宅購入後の暮らしも穏やかにスタートできるでしょう。
■ 頭金を多く出すデメリットも知っておこう
いっぽうで、頭金を出しすぎることで生まれるリスクもあります。
① 手元資金が減り、生活防衛力が落ちる
頭金に全力を出してしまうと、いざというときに使える貯金が手元になくなるという事態に。
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急な病気やケガ
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子どもの学費や進学費用
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自動車の買い替え
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家電の故障や冠婚葬祭費用
住宅購入直後は、引越し・家具家電・登記費用などで出費がかさむため、最低でも半年〜1年分の生活費は手元に残しておくのが安心です。
② 住宅ローン控除の恩恵が少なくなる
「住宅ローン控除」は、年末時点での住宅ローン残高の0.7%が最大13年間、所得税や住民税から控除される制度です。
つまり、借入額が大きいほど控除額も大きくなります。
▼ 年末残高に応じた控除額の一例
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借入3,500万円 → 最大年24.5万円
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借入3,000万円 → 最大年21万円
もちろん「借金を増やしてまで控除を受けるべき」というわけではありませんが、「控除額が減る=税制優遇が減る」ことも忘れてはいけません。
③ 資産形成のチャンスを失う可能性も
20~40代は、資産形成のゴールデンタイムです。
たとえば、つみたてNISAやiDeCoを活用し、年間数十万円ずつ運用することで、将来的な教育資金や老後資金を育てるチャンスになります。
頭金にすべて資金を充ててしまうと、その分、運用による資産形成の可能性が後回しになってしまいます。
特に、金利1%以下の住宅ローンよりも、利回り3~5%の資産運用のほうが効率がいいケースも多く、頭金と資産形成のバランスは要検討です。
■「頭金ゼロ」はアリ?ナシ?
結論からいえば、ケースによっては「頭金ゼロ」でも問題ありません。
とくに以下のようなケースでは、あえて頭金を出さず、将来に備えて資金を手元に残す判断もアリです。
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金利が低く、毎月の返済額に無理がない
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家賃と同程度の返済で、ライフスタイルが向上する
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将来的に繰上げ返済や資産運用で対応できる
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20〜30代など完済までの時間に余裕がある
今は「低金利時代」。借りた方が得な時期とも言われています。
一方、焦って購入してローン返済が苦しくなるようでは本末転倒ですので、「ゼロ頭金=危険」と決めつけるのではなく、自分に合った資金計画を立てることが重要です。
■ FPが推す考え方|「完済年齢を早める」ことが最大の安心につながる
最後にお伝えしたいのは、「頭金を多く出すかどうか」よりも「住宅ローンをいつ完済するか」を意識してほしいということです。
たとえば、同じ3,000万円を借りるとしても――
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30歳で借入 → 65歳で完済(定年退職と同時にローン終了)
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40歳で借入 → 75歳で完済(老後にローン返済がのしかかる)
多くの家庭で不安視されるのが、老後の年金生活中に住宅ローンが残ってしまうことです。
そうならないためには、「頭金をコツコツ貯めて10年後に家を買う」より、「今すぐ買って、返済を早く終える」という考え方もアリです。
さらに、住宅ローンは繰上げ返済によって完済年齢を引き下げることも可能。
資金の余裕があるときに計画的に返済することで、頭金と同じくらいの効果を生むことができます。
■ まとめ|頭金は「出せるだけ出す」ではなく「将来から逆算して考える」
比較軸 | 頭金を多く出す場合 | 出さない場合 |
---|---|---|
月々の返済 | 減る | 多くなる |
利息総額 | 少ない | 多い |
控除額(住宅ローン減税) | 減る | 多くなる |
手元資金 | 減る | 残る |
資産形成 | 後回し | 続けやすい |
精神的安心感 | 高い | 不安も |
どちらが正解ということではありませんが、重要なのは、人生全体を見渡して、「完済年齢」から逆算して考えること。
家づくりは、住宅ローンと“上手につきあう”ことから始まります。
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